Sunday, March 18, 2007

グッドバイ、フォルスクリーク


ついに明日、私たちは住み慣れたこの家から引っ越す。この6年が、本当に走馬灯のように過ぎていった。最初にこの家を買った時、ロバートと私はまだ付き合っていた段階だったので、私はこの家を「ロバートの家」と呼んでいた。もしかしたら結婚することになるかもしれないけれど、それはまだまだ先と思っていたので、私たちがブレークアップすることになったら私はすぐにこの家から出て行けるよう身軽でいたいと思っていたことを覚えている。だからこの家で、まさかケンが生まれて、それから双子が生まれるなんて思ってもいなかった。
 ロバートと私が6年前に家探しをした時、「眺めがいいこと」が第一条件だった。何軒かのコンドミニアムを下見したけれど、ダウンタウンとこちらサイドをつないでいるグランビル・ブリッジやキャンビー・ブリッジのすぐ近くで、橋の車の行きかいを見てるだけで目がまわりそうだったり、眺めよしというふれこみで売りに出されてる物件でも、それはイーストサイドの眺めで気が滅入りそうになったりと、なかなか私たちが思い描いていた物件がなかった。そんな時、ロバートが一人でこの家を見に来て、「家に入るなり気に入った」と私に話してくれて、それから私も一緒に見に行ってトントン拍子でここを買うにいたったわけだった。フォルスクリークと呼ばれるエリアにあるこの家は、天井が高くて、インテリアに木をふんだんに使ったこの家はウィスラーの山荘のような雰囲気があり、窓から外はダウンタウンやノースショアの山並み、そして海が見えて…夏の夜長は友達を招いてBBQをよくしたし、ケンが生まれる前の3年間はすぐ近くのグランビルアイランドでのドラゴンボートの練習に励んだし、ローラーブレードでスタンレーパークまでよく行ったし、ケンが生まれてからは毎日のようにケンをバギーに乗せてグランビルアイランドやブロードウェーへ散歩に出かけ、すぐ近くのショナシーという豪邸エリアをディスカバーしたり、ブロードウェーからバギーごとバスに乗ってあちこちに出かけたものだった。歩くことが大好きな私には、徒歩でなんでも用が足せるこのエリアはすごく便利でもあったのだ。
 子供が3人になって、この家はとにかく狭すぎるし、庭がなしで、子供なしのカップルにはパーフェクトな空間だけれど、子供ができたら住めない場所ということは自覚しながらも、眺めのよさと便利さにひかれて引越しを3年間も伸ばし伸ばしにしてきてしまった。このエリア、一度住むと別のエリアには住めなくなってしまう。
 ついに明日、私たちは引っ越す。ロバートも私も、大人になってから6年間も同じ場所に住んだことがなかったので、それだけ愛着も深い。ここに引っ越してきた初日の晩、ロバートと一緒にこのエリアを歩いたことを覚えている。8thアベニューを歩きながら、私たちは見知らぬフォルスクリークで始める新しい生活に少しどきどきしていたことを覚えている。それがこの6年間を振り返ってみて、いいことしか思い出せない。
 名残は尽きないけれど、明日から庭付きの大きな家で始める家族5人の生活も楽しみだ。明日、このドアを閉めてもうひとつのドアを開けると別世界が待っているような気がする。今は、この前友達のマーカスが言っていた「change is good」という言葉をただ信じるばかり。