Friday, April 30, 2010

今さら、日本には住めない

ママ友の一人が、一家揃って日本帰国を決めた。3人の子供がいる彼女。一番上の子供は高校生だ。ご主人はカナダ人。長年住んだカナダを、思い切って去ることにした一家。ちょっと驚いたのは、それは彼女の意思で決めたことだった。

よく日本人のママ友と話になるのは、「今さら、日本には住めないわよね~」ということだ。

「今さら、日本には住めない」

この言葉、ちょっと私には引っかかっていた。カナダの暮らしに慣れると、日本にはもう住めないというらしいのだ。たしかに、カナダの暮らしはのんびりしている。子供たちは公園で遊んでいたら靴下まで脱いで、裸足で砂場を歩き出すし、お弁当だって手の込んだものを作らずにおにぎりとソーセージだけですませられるし、公共の場でも堂々と授乳できるし、子供がちょっと薄汚れた服を着ていても「ここは日本じゃないから」とすませられる。それに比べて、ママ友の話を聞いていると、日本はどこに行っても混雑してるし、しがらみが多いし、他人との付き合いを大切にしないといけないし、他人の目をいつも気にしないといけないらしい。要するに、カナダでこんないい加減な暮らしをしていると、日本にはもう住めないということになるらしい。

5年近く日本に帰ってない私は、「へぇ~、日本ってそんなところだっけ?」と思いたくなる。

私の中では、食べ物は美味しいし、温泉はあるし、人々は丁寧で親切だし、電車は時間通りに来るしといいことだらけ。銀行に行けば行員が頭を下げて対応してくれるし、駅員さんだって親切じゃん。カナダって、その点すごく対応が悪い。サービス業って言葉が定着してないんじゃないの?と思うことばかりだ。おまけに救急病棟に行ったら3時間は待たされるし。「救急」なんてふざけた名前をつけんなよ!と言いたくなる。

帰国を決めた友達は「私のわがままで帰国を決めて、なんだか子供たちに悪いことしちゃったんだ」と言った。彼女がこっちの生活に限界を感じたのが理由だ。

「子供たちは日本行き、反対なの?」と私。
「違うの。大賛成。子供たちは日本が大好きなの」と彼女。
「じゃあ、いいじゃない」
「でもね、私は英語環境の中で子供たちを育てたかったの。だからそれができなくなって、ちょっと申し訳ないと思ってるのよ」と彼女。

だけど、英語はもう十分にできる子供たち。日本に行けばインターナショナルスクールに通うそうだ。そして日本語も上手に話す子供たちだから、日本での生活は、まさにバイリンガルな子供たちには素晴らしい経験に違いない。20歳前の吸収力抜群な時期にカナダと日本で過ごせるなんて、なんて幸運なことだろう。3年後に大学進学を控えた彼女の長男は、日本の大学かカナダの大学に進学するチョイスがある。チョイスが多いのはいいことだ。

大阪の都心出身の彼女だけど、新天地に決めたところは北海道。ヨサコイと三浦綾子の大ファンという彼女らしい選択だ。

色々なことを話すことのできた友達がバンクーバーから去るのは寂しくなるけれど、「今さら、日本には住めない」というカナダ在住の日本人が多い中、私は大胆な決断をした彼女がすごいと思う。そして、来年私が帰国した時に会えることを楽しみにしながら。

実は我が家でも、子供たちが小さいうちに数年の間、日本に住みたいという夢がある。子供たちに母親が生まれ育った国を見せて体験させたいし、彼らにはカナダ人だけじゃなく日本人としても育ってほしいからだ。数年構想の夢だけれど、いつかそのうち実現させますぞ。

彼女の決断に幸あれ!

Thursday, April 29, 2010

愛と料理は向こう見ずに

ホッケーのスタンレー・カップを賭けたプレーオフもラウンド1が終わり、8チームがラウンド2に進みました。カナダのチームではバンクーバーとモントリオールが残っています。いいぞ!いいぞ!しかも、イースタンカンフェランスでは上位3チームが姿を消したので、これから混戦模様?晴美さん、面白くなってきましたね~。バンクーバーもチャンスがある?!珍しく神頼みしちゃおっかな。

ところで、今日のリンゴケーキは大好評。自分で言うのもなんですが、クセになりそうな美味しさ。そりゃそうだ、シュガーが2カップ近く、油が並々1カップでんからな。それを考えると作者として胸が痛むのですが、レシピに従うとそんなふうでありました。だから北米の人たちってデッカイのよね。

今日はダライ・ラマの「人生の指南書」の最終回です。

●最良の人間関係とは、自分が他に捧ぐ愛情が、自分が他を欲する気持ちより強いこと
●自分の成功とは、そこに達するまでにあきらめなければならなかったことで計るがいい
●愛と料理は向こう見ずな奔放さで行うがいい

たしかに、1カップの油は向こう見ず。だから美味しいのね!

Wednesday, April 28, 2010

風邪

先週は3日間頭痛に苦しまされ、今日は風邪。座っているだけで鼻水がターッと流れ落ちてくる状態。ソフトが元気でも、ハードがなかなか思うようにいかないこの頃。

今日は双子の送り迎えもお休みして家でゆっくり寝ることができたので、明日には回復してそう。ただ寝てるのも疲れるもので、少し起き上がって行動していると双子がドヤドヤと帰宅。その音を聞いただけで鼻水がドドーッ。アッ、もしかしたら鼻水は想像だったのかもしれない。でも、双子が家に帰ってくる音を聞きつけてベッドに戻ったカーチャン。なんだか半分、仮病っぽい気もしない。たまにはゆっくりさせてと体が訴えてたのかな。

我が家では私がどうしても起きれなくなると、もちろんあの人に登場してもらいますが、ウェンディという子供たちの代理母もいるので助かっている。表向きは公認会計士のスーパーウーマン。私が必要としてる時に限って、彼女は仕事に行ってないことが多い。「メイデー、メイデー」の信号ですぐに来てくれるスーパーウーマン。

今晩もあの人が3人の子供を連れて長男のベースボールに行ってくれると、俄然、ベッドから起き上がり活動するカーチャン。この頃は無性に創作意欲がわいて、何か作りたい気分。この前は小麦粉を使わないピザ。米粉でモチモチ感十分。

我が家では小麦粉を食べられない家族が1人がいるので、食生活はこだわっている。日本に行っても、グルメが楽しめないカワイソウなガイジン。天ぷら、うどん、ラーメン、お好み焼き、カレーライス、カツ丼、カキフライ。言い出したらきりがない。しかもほとんどの醤油は小麦粉が原材料なので、厳選したものしか使えない(これが高価!)。

これから作ろうとしているのは小麦粉を使わないりんごケーキ。次回はフォッカシオ・ブレッドに挑戦。

ペパロニピザ。実は、アスパラとゴートチーズが隠し味!

Tuesday, April 27, 2010

いざ、ロッキーへ。続編


昨日以来、早くも心はロッキーへさすらいの一人旅。

そういえば、「太陽にほえろ」にいたよな、髭の刑事。。。ロッキー刑事じゃんね。

「ラ~ブレター・フロ~ム・カナ~ダ♪♪」というあの名曲もありましたね。

しかし、晴美さん、一話残さず「ライスカレー」を録画してたとは、あの頃からカナダ通だったんですね。そのうちカナダ総督に手紙を書いて、晴美さんを名誉国民にしてもらわないといけないな。

まずはテント。5人用の。車もルーフラックをつけなければ。

バンクーバーとバンフの距離857キロ。面白そう~。

またしばらく体力トレーニングに励まなきゃ。

Monday, April 26, 2010

いざ、ロッキーへ

色々考えてみたけれど、この夏、日本にはちょっと行けそうもありません。私一人で3人の子供を連れて飛ぶとなると、夏の時期なら50万円で行けるかな~。60万くらいかかりそう。かといって、子供を選んで連れて行くというわけにもいかないし。同期会も、長男を日本の小学校に体験入学させることも今年はできそうもない。残念。

というわけで、バンクーバーでの夏の予定を考えていかなければならなくなりました。夏休みは丸2ヶ月と長い。子供が生まれてからキャンプには一度も行ってなかったけれど、悪ガキだった双子も4歳になった今年の夏は行けそう。で、今日はディナーのテーブルであの人とキャンプの話をしてみました。

あの人:「ウィスラーに行く途中にある湖のキャンプ場がいいって聞いたよ。少し東に行くと、ホープの方にもいいキャンプ場があるし」
私:「せっかくなら1週間くらいは休みが取れると思う?」
あの人:「1週間か~。多分取れると思うし、1週間ならロッキー山脈にも行けるな~」
私:「えっ?まじで?それなら行っちゃおうか?!」

というわけで、いきなりバンフ・ジャスパーに話が出来上がってしまった行き当たりばったり夫婦。どうせなら2週間くらい行っちゃおうかとまで話は進展。そうなると今後キャンプ用品を揃えるのが我が家のオーガナイザー兼大黒柱の私の仕事。いきなり子連れでロッキー山脈ロードトリップというチャレンジングな旅をするのも我等らしい。なんか少しだけアドレナリン上がってきちゃったな。。。

そこで、私は宣言します。来年の夏は2ヶ月たっぷり帰国する!!!

ロッキーと言えば、このドラマ。皆さん、覚えてますか?

Sunday, April 25, 2010

国境というもの

アメリカに陸路で渡る際には、移民審査を通過しなければなりません。私以外の家族全員はカナダ国籍を持っているので、彼らはパスポートの表示だけ。審査はハイウェイで使用料量を払うみたいなシステムで、車の中から審査官にパスポートを見せるようになっています。審査場では車に乗ったまま並び、自分たちの番が来るとまず車のナンバープレートが写真で撮られ、その後、審査官にパスポートを見せて、不可がなければアメリカ側に通されるようになっています。これは、カナダ人・アメリカ人の場合で、私は日本国籍を持つので、車から外に出て、家族全員を連れて移民局に出頭しなければなりません。




カナダ側で国境通過審査を待つ車の列

日本人、あるいは多国籍で例えばアメリカと友好国の人々は移民局でビザ申請書(飛行機の中で記入するあの緑色のやつ)に記入して6ドル払うと3ヶ月有効なアメリカ・ビジター・ビザがもらえます。イスラム圏や他の国の人々は、たとえ陸路でカナダからアメリカに行くとしても事前に最寄のアメリカ領事館でビザを取得しておかなければなりません。以前、カナダ在住20数年でマレーシア国籍を持つ友達が国境を渡ろうとした際、同時多発テロの少し後で、ビザを事前申請することを知らずに行ったため、国境を通過できずに戻されたことあり。どう見てもテロリストには見えない彼女。イスラム教信者が多いマレーシア国籍ということでだめでした。

移民局では容赦ない扱いを受けます。審査官の質問にきちんと受け答えできなければ、辛らつな嫌なことを言われることもあるし、つまり、そこでは審査官が言うことをすべて「ハイハイ」と聞かなければ、書類がきちんとあったとしても国境通過ができないわけです。もちろん審査官はピストルを腰につけているし、防弾チョッキを着てる人もいます。独特の空間。逃げることはできない。

日本人の私の場合は書類に記入し、両手の全指紋を押捺し、顔写真を撮られて手数料を払って国境通過が許されます。

国境通過はこの10年でかなり変わりました。昔はカナダ人とアメリカ人は運転免許書を移民審査官に見せれば通過できたのです。免許書がないとか未成年は出生証明書を見せればよかっただけ。それが今ではアメリカ人もカナダ人もパスポートを見せなければなりません。私も以前は指紋と顔写真は必要なかったのに。

国家安全保障というやつはどんどん厳しくなっていきます。国際線では全身スキャナー導入になるそうだし、そのうち、指紋だけじゃなく唾液も提供なんてことになるんじゃないだろうか。。。

しかしながら、さすがアメリカ~と思った一場面。私の顔写真を撮る時に移民審査官は「笑ってもいいよ。ハッピーなのがいいからね!」と。カナダでは考えられない発言。カナダのパスポートや身分証明となる顔写真では笑ったり歯を見せることが許されていません。多くのアメリカ人はフレンドリーで感じがいいということも書いておきます。レストランやお店でのサービスはアメリカは素晴らしい。

アメリカの街を歩きながら、個人としてのアメリカ人は善良な人が多いかもしれないのに、国家として、国民をコントロールしてるところが多すぎる、国民に知らせていないダークな政策が多すぎるなんてブツブツ思っていた私。



このラインを超えてカナダ側に戻るといつもホッとします。

久々のロード・トリップ

大陸に住む面白みの一つに、隣の国に陸路で行けるということがあります。昨日も友達と話をしていたら、彼が若い頃住んでいたBC州の田舎町はアメリカ国境まで歩いて行くことができたそう。なので、ベトナム戦争の徴兵を逃れて多くの若いアメリカ人が彼の町に移り住んできたとか。当時、「ドラフト・ドッジャー」と呼ばれるベトナムへの徴兵から逃げたアメリカ人がたくさんカナダに来て、あの頃ヒッピーだった若者達が初老になった今でもカナダに住んでいます。カナダはやっぱりいいとこだ~ということです。

バンクーバーからアメリカ・ワシントン州の国境まで車で1時間弱。私達も年に1,2度、ワシントン州に遊びに行くのがちょっとした楽しみ。行った先は、スカギット・バレー恒例の「チューリップ・フェスティバル」。


こちらは、「ピース・アーチ」と呼ばれる、カナダとアメリカをつなぐ大きなゲート。国際間の国境線はまさにこれ。


アメリカ側に入国です。


チューリップを見に行く前に、昔の港町Bellinghamでランチ。昔栄えたこの街はレンガの建物がまだ残っています。この建物はColophon Cafe & Village Book Store。メニューは美味しくてヘルシー、雰囲気がすごくいい。隣接の本屋も板張りの床で、新書と古本が置かれています。アメリカでもリベラルなワシントン州だけあり精神世界・宗教系の本も充実!


チューリップは言うまでもなくラブリー。


遠くの山がいいでしょ。こういう景色、いいよね~。


しかしながら子供たちのハイライトは、帰り道に見た貨物列車。こんな近くで見てスゴイ迫力!子供たちは「ディーゼルだ~!!」と大感動。

ロードトリップはこれだから面白い!

おだちんぼ

●アメリカ国境での移民局--。多くの人が並んで移民審査を待っていた最中、もちろん、移民局ではジョークも何もたまったものじゃない。筋肉ムキムキの腕や足首にタットゥー(入れ墨)を入れてる人々も自分たちの番が来るのを黙って待つのが移民審査だ。泣く子も黙るじゃないけれど。。。突然、何を思ったのか4歳児。

「ボクのダディのオチンチン、長いんだ~」

周りからは、唇を噛み締めた静かな微笑。当然、言われたダディは青くなって苦笑。

●静まり返った図書館の中で、身長が190センチ近くの女性を見た男児。

「ウワーッ、ビッグ・ピープル!見て、見て!」と大声で、母親を焦らせた男児。

●お隣の優しい中年のオジサンのビールで鍛えた大きなお腹を触って
「なんでこんなに大きいの?この中に何が入ってるの?」

オジサン苦笑。「オジサンは美味しいものを食べるのが好きなんだよ~」

突拍子もなくこんな不埒なことを言うガキ。親の顔が見てみたいと思いませんか!?

それは、私であった。。。我が家の双子B。どうしようもなくおだちんぼ。アニキ二人は落ち着いた分別のある子供たちなんだけど。同じように育ててるんだけどなぁ。。。

Tuesday, April 20, 2010

「ハートロッカー」を見た後で。続き

社会学者のウィリアム・キャロルが「具現化」と「ヘゲモニー」について書いている。キャロルは、ネオリベラルなグローバリゼーションを推し進めるに当たり、具現化とヘゲモニーがいかに冷酷なインパクトを与えたかについて論じた。キャロルは、具現化とは各自の暮らしの中で、変えることのできない自然として捉える状態をさすと言っている。つまり、「疑問に思ったり、問題になっている生活の一部を超越するのではなく、具現化された心は物事をそのままに受け止めさせる仕組みになっている」と説いている。イラク戦争が勃発する前、アメリカ政府はイラクが大量破壊兵器を保持していること、サダム・フセインが同時多発テロに関与していたことを伝えた。また、メディアは世界貿易センターが爆破される映像を何度も何度も繰り返し流し続けた。その結果、イラク侵攻の考えが具現化された。その考えは、多くの人々によって自然化された。ヘゲモニーとは、同意による統治だとキャロルは言う。確立された力関係の中では、「支配者の興味が全体の興味に取って代わる」と論じている。イラク戦争では、アメリカ政府によるイラク侵攻が支配的なヘゲモニーとして働き、多くの国がそれを支持した。

同じくイラク戦争を題材にした映画の「リダクテッド 真実の価値」をジョン・ピルジャーは評価している。ブライアン・デ・パルマ監督のこの作品は、実際に起きたアメリカ軍によるイラクの10代の少女へのレイプとこの少女の家族の殺人を描いた映画だ。この映画には英雄が登場しない。人殺しは人殺しであり、ハリウッドとメディアの共犯で作り上げられたイラクでの犯罪が巧みに描かれているとピルジャーは論じている。この映画の最後ではイラク民間人の犠牲者の写真が流れる。「法律的な理由により」これらの写真が削除されるよう要求されたのを受けて、デ・パルマ監督は「犠牲になった人々への尊厳すら取り除かれることになるとは酷いことだ」と話した。「リダクテッド」というタイトルのこの映画の一番皮肉なところは、映画そのものが実際にリダクテッド(編集)されたことだ。アメリカ国内での限定された上映の後、この映画は消え去ったとピルジャーは伝えている。

私たちにはメディアから知らされていないことがたくさんある。私たちは真実を知らない。しかしながら、唯一つ明らかなことは、イラク侵攻が開始して以来イラク人に平和が訪れていないことだ。具現化とアメリカによるヘゲモニーが続く限り、イラクに平和が訪れることはないだろう。

Monday, April 19, 2010

「ハートロッカー」を見た後で。

「ハートロッカー」が、今年のアカデミー賞で最優秀作品賞、監督賞、脚本賞を含む6部門の受賞をした。この映画を見た私の感想は、とても暴力的で気分を害する作品、それでいて反戦メッセージもなければイラクで起きていることを現実的に描写しているわけでもない。なので、なぜこの映画がアカデミー賞を多数受賞して、アメリカの主要な映画祭(ロスアンジェルス、ニューヨーク、シカゴ、ボストン、ラスベガス)で最優秀賞を受賞したのか理解しかねた。この映画がアメリカ全土で高い評価を受けたことに、私は危惧している。なぜならそれは、イラク侵攻を正当化することにつながるからだ。私たちは子供たちに暴力はだめだと教える。それでいて、組織だった軍隊による暴力を認める社会。この矛盾はどこからくるのだろう?

ストーリーはいたって単純。イラクでのアメリカ軍の爆弾処理班の話だ。とりわけ、爆弾処理スーツに身を包み爆弾を処理する男を中心に描かれる。この男があちこちに仕掛けられた爆弾を解除するのを、いつも建物の中から遠巻きにイラク人が見つめている、それだけの話し。私にしてみれば、この主人公は爆弾処理をすることに取りつかれたサイコ兵士にすぎなかった。だからこういうサイコはイラクだけでなく、爆弾がある国ならばどこにでも行っただろう。私がこの映画を受け入れられなかった理由は、ストーリーがあまりにも一方的に描かれていて、イラク戦争の奥の深さをまったく無視していたことだ。つまりこの映画は、アメリカのプロパガンダを全面的に押し出した一方的なストーリーになっている。この映画は、アメリカ軍の兵士はテロリストからアメリカ国家を守るために戦っているという、間違ったメッセージを観客に投げかけることになるだろう。限られた描写のこの映画を見ると、大きな誤解を招くことは必至だ。イラク戦争に根ざした問題はあまりにも大きすぎる。それをこの映画では、まるでアメリカ政府のように、観客に真実を伝えることをしていない。たとえば、アメリカ政府が発表した、イラクには大量破壊兵器があるという情報に私たちは惑わされた。また、アメリカ政府はサダム・フセインが同時多発テロに関与していると発表した。これらのことにより私たちはイラク戦争を正当化させられた。

先日クラスでこの映画についてディスカッションをした時に、私の恐れていたことが表面化した。ある学生は、この映画はイラクでの日常を描いていると思った。また、アメリカ人の学生は、イラクで何が行われているか見ることができて良かったと語った。彼女は、「メディアはイラクで起きていることを見せないので」と言った。こんな意見が出たけれど、この映画はイラクで起きている真実に基づいて描かれているわけではない。ただのフィクションに過ぎない。ちなみにこの映画の脚本を書いたジャーナリストの肩書きを持つマーク・ボールは、これまでプレイボーイ誌やローリングストーン誌に記事を書いている。このような雑誌に記事を書くライターがジャーナリストとして、イラクで起きている現実を書くことができるのだろうか?にもかかわらず、なぜ人々はこの映画がイラクで起きている真実だと考えるのだろう?イラク戦争で最も重要な問題は、イラクの民間人だ。アメリカ軍の攻撃で家族や住居や財産を失った人々にまったく触れることなく、どうしてこの映画がイラク戦争の現実だと言えるのだろうか?これまで100万人以上のイラクの民間人の命が失われたとも言われている。映画では、イラク人の「声」を聞くことができず、もちろんのこと彼らの考えを描写するシーンは皆無だった。私たちはメディアによって知らされていないことがありすぎるだけでなく、この映画すらその任務を怠っているのだ。さらに悪いことに、カメラを固定しないで撮影する「揺れるカメラ効果」で、この映画はドキュメンタリーのように描かれている。そのため、観客は現実を見ているかのような錯覚に陥ることになる。私は、この一方的な映画が私たちの社会に投げかける影響、つまり、イラク戦争の正当化が心配でならない。

続きは次回。

Friday, April 16, 2010

ただ今、改造中。

さすがに1日に2度自宅とダウンタウンを往復すると疲れました~。ただでさえ金曜日だっつーので疲れているところ。BMWとポルシェの事故現場も見ちゃったから、余計に疲れが身にしみています。BMWの前部が大破、そしてポルシェは後部が大破。ドイツ車は修理も高いですな~。高級車にはぶつかりたくないですね~。運転も気をつけないといけないな。

今週でアタソイ先生のコースも終わり、束の間の春休みを楽しもうと思っているところ。楽しめるかどうかわからないけれど、前々から思っていた改造を少し始めました。

それはどうしようもない荒れ状態だった2階の子供部屋。そもそも私がオリンピック期間中に仕事をしている間、誰もこの部屋を片づけなかった。リビングルームやキッチンにおもちゃが集まると、夫やスコット兄は箱におもちゃをガンガン入れてそのまま2階の子供部屋にドヤーッと、まるでダンプカーのようにおもちゃを放棄。

先日、友達の家に行って驚き。そこはうちと同じで3人の子供がいるのに、家中がすごくきれいに整理整頓されていた!3人の子供の年だってうちと同じくらいなので、なんでマスミさんちってそんなに整然としてるんだ?と考えた私。3人の子供が全員男の子のうちと違って、女の子が二人、男の子が1人という家族構成だから?と考えたり。。。これではいかんと思ったマダムM(今日はマダムでいっちゃいます)。




写真の状態は、これでもここ数日である程度片付いてきたものです。なので、これまでがどれだけ荒れ放題だったかわかるでしょう。あっ、パンツ1枚に脱がされた男の子の人形も転がっている。どうして子供って、人形の服を脱がせるのが好きなのかしら~。

昨年の秋にも子供たちに手伝わせて少しお片づけ。その時はトモキが、写真のショベルカーでこまごましたおもちゃのピースを寄せ集めて収納箱に入れているのが面白かった。あの人にしてみたらすべてが遊びです。



そしてその時は、双子の手伝いのおかげで子供部屋がこんなにきれいに!子供部屋からおもちゃが消えた!ちょっとこうなると気持ち悪い。。。ていうか、その時はおもちゃをガンガンクローゼットに入れ込んだだけ。


これは、ノアが一人でお片付けした記念の1枚。なんだか一人で2階でゴソゴソしてるな~と思っていたら、40分くらいの間に床いっぱいに散らかっていたおもちゃをこんなにきれいに片付けてしまいました。ノアは我が家のお片付けプリンス。



今回の大掃除では、積み木や色とりどりのブロックの赤ちゃんおもちゃ、壊れたおもちゃはすべて袋に入れてしかるべきところへ。赤ちゃんおもちゃは小さな子供がいる友達のところに届けます。そしてこれからも子供たちが使うおもちゃは、IKEAの収納箱を組み立てて、そこに箱をどんどん収納します。収納箱を組み立てるのはもちろんあの人ですが、昨日からホッケーのプレーオフが始まってしまったので、夜はテレビにかじりつきのあの人。昨日なんかゲーム開始1時間前を切ったところで、「チケットが1枚余ってるんだけど~」と友達からの電話に夕食もそこそこで出かけたあの人。しかも高価なチケットは友達のおごり。そして延長戦の末、勝ったのはもちろん我らがカナックス!こんなわけで、収納が落ち着くのはプレーオフが終わるまで待たなければならないのだろうか。。。先は長い。

なんだかこうしてみると、子供たちが成長してるのがわかるな~。

Saturday, April 10, 2010

だるまちゃんとてんぐちゃん



今日は双子と一緒に市立図書館に行きました。子供たちに本を借りようと、キッズセクションへ。トモキとノアに好きな本を決めるように言いました。トモキが咄嗟に本棚から引っ張り出した本を見てビックリ。それは、我が家に日本語である「だるまちゃんとてんぐちゃん」の英訳版でした。以前、我が家で子供たちの面倒を見てくれていた幼稚園の先生弓絵さんが日本に帰国してから送ってくれて以来、子供たちも私も大好きな本の1冊です。だるまちゃんがてんぐちゃんが身につけている靴や帽子やうちわが欲しくなり、家に戻っては大きなてんぐどんにあれが欲しい、これが欲しいと言います。すると、お椀だったり、琵琶の葉っぱだったり、まな板で、だるまちゃんが欲しいものに変身。1967年に発行された本です。

家に帰って英訳版の本をダディに読んでもらった子供たち。日本語の本が英訳されていると嬉しくなる私。英語の訳はどうなってるのだろうと、パラパラと本をめくってみました。そういえば、誰が翻訳したんだ?最後のページを開きました。英訳はなんと、ピーター・ハウレットさんじゃないですか!幼馴染のピーターちゃん。実は私は北海道でピーターの隣の家で育ちました。今では環境保護活動家として活躍するだけじゃなく、児童書の英訳も手がけている人です。たまたまトモキが取り上げた本がピーターちゃんにつながるなんて。。。ピーターと20数年ぶりに再会したのは4年半前の函館で。私が双子を妊娠している時でした。ピーターと彼の家族に会っていなければ、私は今頃カナダには住んでいなかったことでしょう。私の人生に大きな影響を与えた家族のことはまた今度。

弓絵さんがこの素晴らしい児童書を日本から送ってくれなかったら、私はこの本と出会えていなかっただろうし、トモキがたまたまこの本の英訳版を見つけなかったら、ピーターのことは忘れていました。そしてピーターに最後に会ったのは、トモキがまだお腹の中にいた4年半前のこと。

今日またもや思ったこと。人生、やっぱりこんなふうにつながっている!

Friday, April 09, 2010

価値観の相違

あの人と私は多くの面で価値観が似ています。

買い物なんかは意見の相違があまりないので、けっこうスムーズ。家具を選ぶのもラク。これまで大金を使って一緒にした買い物は10年前に買った家。お互い足を入れた瞬間に「この家だ!」と感じました。

が、音楽の趣味が少し違う。

クラシックを聴く家庭で育ったあの人は、チャイコフスキーやベートーベンの起伏に富んだドラマチックなオーケストラ。ジャジャジャーン♪♪、そこでシンバルがガーッと鳴って、ドラムがドンドンドン~とクライマックスに達するような曲。私はバロックやバッハのゴールドベルグ変奏曲をゆったりと聴くのが好き。あの人にしてみたら、バッハは平坦でつまらないらしい。カナダの巨匠ピアニスト・グールドが奏でるゴールドベルグは「機械的なテクニック、もってのほか」とはねつけます。私が大好きなCDなんだけど。

子供たちも私に似てREMが好きです。ここしばらく車で聴くCDはREMだったのですが、先日、あの人に言われてしまいました。「最近、こればっかりだねぇ。キミはボクをREM嫌いにさせようとしてるのかな?」

車の中は閉ざされた狭い空間。あの人が車のエンジンをかける度にオーディオから流れてくるのがREMだとしたら、これって、まるでREMを使った密室での拷問みたい~と苦笑した私。

そんなあの人の昔から好きなロックバンドはジェネシス。あ~、またここで意見が合わない夫婦。頭のてっぺんから声を振り絞っているかのようなフィル・コリンズを見ていたら、なんだかこめかみの血管が浮き出てるのが見えそう。

でも、そんな私もジェネシスには一曲だけ好きなのがあります。コレだけは許せるってやつ。

Thursday, April 08, 2010

David

この頃疲れ気味です。

慢性睡眠不足。目はショボショボ。

カーチャン稼業やってると、休めないのが辛いところなのよね。6歳と4歳の有り余るエネルギーにはトホホ。もっと自分が体力つけないといけないな~。

今日なんてとうとう、あいつらを里子にもらってくれるところはないだろうか!と考えてしまったくらい。喜んでもらってくれそうな人、心当たりが一人。

矢野顕子さんは年を取るにつれきれいになっていきますね。この曲「David」は好きな一曲です。実は、うちのノアのミドルネームの一つがDavidです。彼のもう一つのミドルネームは、ウフフ、それはわたくしのラストネームです。ノアのミドルネームを考えていた時、私がいいなと思った名前は「エドワード」。これは完全に機関車トーマスの優しくて可愛い機関車のエドワードから。もう一ついいなと思った名前は「パトリック」。だけど、エドワードもパトリックも、我が家のあの人によって却下されてしまいました。

今もそうだけど、ノアのあの甘ったるい顔はどう見ても「パトリック」って感じなのよね~。ノアを知ってる人、どう思いますか?

さーて、明日もジムに行って体力つけなくちゃ。


Monday, April 05, 2010

イースター4連休 その②

4連休がとっくに過ぎていってしまった。

今年のイースターの集いはシェフ・アランが焼いたサーモンがメインの持ち寄りパーティ。


レモンとディルの香りがほんのりと美味しかった。持ち寄りのいいところは、みんなが思い思いの美味しいものを持ってくること。我が家では珍しく混ぜごはんでいきました。


双子もお行儀良く座れるようになりました~。


ピンクのイースターバニーがついたデザート。誰の手だ~!?

映画を2本見ました。イタリア映画の「ゴモラ」は見ごたえありました。2008年のカンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞した作品。めちゃくちゃバイオレントな映画だけど、必ずしもフィクションでないというリアルさに目が離せなかった。コーエン兄弟の「シリアスマン」もブラック・コメディで、コーエン兄弟健在なり!をアピールしましたね。

Saturday, April 03, 2010

私のエルビス

さて、オタワからの旧友に会いに行っていた夫から今からカエル・コールがありまして、私もほどよくバッテリーの充電ができたところです。こういう自分だけの時間って必要ですね。

この曲は私の名曲リスト・トップ10に入ります。イントロ聴いただけで泣いちゃう~。

30代はすごく楽しいままに過ぎていき、40代になると涙もろくなりました。


イースター4連休 その①

イースター4連休が始まりました。初日の金曜日はグッド・フライデー。バンクーバーはすごい荒れ模様の天気。強風で街路樹の枝も道路に落ちています。そんな日は家の中にいるのが一番いいのでしょうが、そういう日に限って、外に出たくなるのが我が家の特徴。で、「この風で波がどれだけすごいかビーチに行こう!」と、子供たちに暖かい格好をさせビーチに出たファミリー。

ビーチに到着。犬を散歩させている人が何人か来ています。ちょうど引き潮で、少し遠くまで歩くことができるくらい。子供たちは最初は雨も風も気にせず果敢に歩きます。突風が吹くとノアは飛ばされるのではないかとダディの足にしがみつきました。しばらくすると服を突き通す勢いの風があまりにも冷たくて、ノアと私が車に引き返すことに。ケンとトモキはダディについて走ったり歩いたりはしゃいでいます。ノアと私はさっさと車に戻って。

しばらくすると残りのメンバーが車に戻ってきて、みんなで家路を急ぎました。子供たちの長靴はびしょ濡れ。長靴を逆さにひっくり返すと海水がドボーッと流れ出るではないですか。足は凍えるくらいに冷たかったはず。よくそんな冷たさの中で外にいれたものです。子供は風の子というけれど。。。

連休2日目の今日は、ダディの古い友達がオタワから来ていると電話が。ダディは子供たちを連れて出かけました。先週から彼の親、姉二人、弟が来ていた我が家では、私がちょっと疲れ気味。「今日は私一人にさせてもらいます」と彼に話して、子供たちを連れて出かけてもらいました。

こうしてバッテリーを充電させて、今晩のパーティに挑むカーチャンでございます。今日はアランがサーモンを焼いてくれるって!





Friday, April 02, 2010

Cuyahoga

最近車の中で好んで聴いている曲。REMの「Cuyahoga」。もうかなり古い曲なのに、コンサートでよく歌われます。

REMは人道的声明を発表するバンドとしても知られています。キューバに置かれているアメリカ軍のグアンタナモ刑務所には、「テロリスト」という名目で中東で逮捕され送り込まれた人々が収容されています。多くの人たちは自分たちがなぜ逮捕されたかも知らされず、正当な扱いを受けていません。この刑務所での拷問の一つに、四六時中ロックミュージックを高いボリュームでずっと流し続けているとかで、REMは自分たちの曲をこの拷問に流していたのか調査してほしいという声明を出しました。

私たちが知らされていることは宇宙の中の塵のようなものなのですね。


Thursday, April 01, 2010

違いがわかる男

今日は我が家の「違いがわかる男」を紹介。

その男は我が家の三男ノア。毎日飽きもせずに並べています。何を考えながら並べているのでしょうか。。。