Wednesday, January 10, 2007

冬のある日


朝起きると、今冬3度目の雪になっていた。セーフウェーの店員の予測が的中!2日前、店に行った時、ちょっとゲイっぽいそのカレは「嵐の前の静けさってやつだよ。また降るからね」と言っていて、その後チェックした天気予報でもそんなことは言っていなかったから、店員さんの予測もあなどれない。ケンを幼稚園に送ってからオムツを買いにセーフウェーへ。カレは私を覚えていて、「ほら、言ったとおりになっただろう?今晩はね、すごく冷え込むらしいよ」と、私が買ったオムツ2ケースを駐車場まで親切に運んでくれた。人の良さそうなカレは、きっとこうしてお天気なんかの話しをしながら客とのふれあいを楽しんでるんだろうなと思った。天気予報をあらたまって見る時間もない私にはありがたくもある!
 さて、謹賀新年ムードもなにもあったもんじゃないバンクーバー。1月10日の今日は、サイモンフレーザー大学での講義が始まる日だ。今学期は社会学の「カナダの社会構造」を取ることにした私。社会学と人類学専攻の私は、子供が生まれる前は仕事をしながら、そして最近では育児の合間を見ての勉強で、今年で大学生活9年目。日本の大学みたいに何年で卒業しなければならないという規則はないので、そのへんはさすがに勉強したい人には門戸を開いているカナダの懐の大きさに感謝している。とは言っても、社会人として、そして英語を母国語としない私は教室に座るといつも緊張してしまう。講義はこれから毎週水曜夜の4時間。3年次のコースはセミナーが多くなり、クラスの規模も多くて30人くらいと、1,2年次と比べるとぐーんと小さくなる。教授と親近感が増すのはいいことでもある反面、クラスでの発言が苦手な私には苦痛にもなる。カナダの大学の成績評定には「participation」、つまり発言が加算される。私はとにかく人前で英語で発言することが苦手!友達は「なーんであんたみたいに英語を上手に話す人が怖気づかなきゃならないのよ?」と言ってくれるけれど、苦手なもんは苦手なんだから仕方がない。一応何か話そうと自分でも努力はしていて、膝に置いている手が胸のあたりまで上がりかけるのだけど、往々にしてそんな時、いきなりカナダ人学生が横から発言しちゃうので、教室内でのみ引っ込み思案になる私はそのままシュンとなってしまうのである。日本の教育システムの中で、授業中には静かに先生の話を聞くよう何年も何年も教え込まれた身には、習慣ってのはそう簡単に変えられるものではない。だけど、前回のゼミでの発言不足の減点には唸ってしまった。だから、今回のゼミでは毎週1度は何か言うよう頑張るぞ!と、一応意気込みはあるんだけど。。。友達のキャシー曰く、「一度何かクラスでおちゃらけ言っちゃって、あなたはそういうキャラだってこと周りに知らしめるのはどう?」とのこと。これも悪くはないアイディアかも。さて、教授は50代半ばの長身でスマートな素敵なオジサンです。自分で言ったことに自分で笑ったりしてることがキュート。大学教授になった経緯もしゃれている。1980年代にミッドライフクライシスを経験して、その時に大学に戻り博士号を取ったそう。それを聞いて、40間近でダラダラ大学に通う私もなんだか元気が出てくる。夜のクラスなので、クラスメートもすごく若いわけではないところが私にはありがたい。そんな中で同じく社会人のジェニーンと早速話が弾んだ。彼女はガン協会で仕事をするかたわら、これまで心理学専攻で勉強してきてあと5単位で卒業という昨年、一気に専攻を社会学に変えたというあっぱれさん。心理学はつまらなくなって、それに教授たちが面白くない人ばかりで、と声をひそめて話してくれた。「私たち社会人は、他の若い学生と違ってGPAも気にする必要ないし、楽しんで勉強できていいよね。それに、みんなとは違う物の見方もできるし」の一言に目から鱗が落ちた気になった。そうか、楽しんで勉強すればいいのか!
 家に帰ると、双子はすでに寝ていて、夫がケンとトーマスセットで遊んでいた。彼は線路作りの名人。また新しい線路を開発して、今回は駅を作ったと、汽車が停まれるように、ある部分で線路が平行に走っている。ケンは大喜び。店員さんの予測どおり、雪はやんだものの、今晩はかなり寒くなった。私が帰るなり、ケンは私の冷たい顔と手に触れてくれた。しばらくたってから、「ママ、うんち出た」と私に言いにきたケン。「ケンちゃん、もう2時間も前からオムツにうんちが入ってるのに、ダディに換えさせようとしなかっただろう」と夫。たしかに、帰宅した私に「ただいま(ケンは外から誰かが入ってくるとそう言う)」と言い寄って来たケンはなんだか臭かった。「なんで臭いと思ったのなら言わなかったんだい?」と夫に言われて、「だって、帰ってくるなり臭いなんて、なんだか失礼だと思って」と私。
 長い1日の終わりは、お皿洗いをするのが私の習性となっている。ケンが幼稚園から持ち帰ったお弁当箱を開けて、「やってくれるな、あのチビ子」と私は内心感心。少しでも野菜を食べてもらいたい母の気持ちと裏腹に、茹でたにんじんとグリーンピースだけ注意深くよけて残してきた我が長男。あー、これに関しては気長にやっていこう。
 そんなこんなの、2007年の幕開けのMacSaito家である。

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