Friday, April 29, 2011

イデオロギーの違い。

私と夫がグリーン党を支持してるのが、周りの友人には理解できないらしい。どうやらグリーン党というと、元ヒッピーの集まり、大麻擁護派などなど、カナダ・グリーン党の公約すら知りもせずに偏見で物を語る人々が多数。

では、グリーン党の主だった*公約*を書いてみましょう。

●再生可能なエネルギーを取り入れた雇用拡大。
●公正なグローバル貿易推進。現存の貿易制度の見直し。
●健全な産業の推進。オーガニック農業に移行したい人々を支援する健全な農業推進。健全な漁業の推進。持続可能な林業の推進。
●無駄な補助金の見直し。健全な予算を、大企業更生や原発、化石燃料への補助金のストップ。
●子育てをしている家族、老人への援助拡大。
●現行の選挙制度の見直し。
●大企業によるカナダのジャーナリズムに対する干渉への解決策検討。
●公正な市民権の推進。人権擁護。
●2010年の気候変動国際会議の遵守。
●アフガニスタンでの平和な解決策に貢献。
●貧困を過去のものに。カナダのみでなく、他国の貧困改善への援助も行う。

友人Jとの会話で、またもや話題は来週に迫ったカナダ総選挙の行方。彼は、友達の中でも最も善良なカナダ人。真面目に仕事をして、他人に思いやりがあって、健全な市民としての役目を果たしている。

友人J:「グリーン党は、大麻を合法化しようとしているし、刑務所の囚人対策も甘すぎるよ。カナダに死刑制度がないのもおかしいよ。もしもさ、保守党が公約に死刑制度の復活を入れたら、僕は保守党に投票するんだけどな」と。

上記に書いたように、グリーン党では大麻の合法化を公約に入れていない。そのことでちょっと調べてみた。グリーン党の立場としては、カナダでは大麻の違法な取引を原因とするギャング絡みの犯罪が後を絶たない。それならば、タバコとそれほど害の違いのない大麻を合法にすることで犯罪率の低下につながるというのがグリーン党の見解らしい。なるほど、大麻欲しさのお金を稼ぐための、泥棒や車上狙い、カツアゲの多いカナダの大都市には効果的かもしれない。私もアパートに住んでた頃に泥棒に入られたし、車上狙いにあったこともある。盗まれたのはたいしたお金にならないCD数枚。なのに車のガラスを割られて、修理代で500ドル。盗んだほうも、ガラスを割られたほうにも割の合わないことだった。

友人が口に出した「死刑制度」という言葉がどうしても頭から離れなかった。「刑が甘すぎるから、囚人は出所してまた犯罪を犯すんだ。それならいっそのこと、死刑にしたほうがいいよ。そうするとカナダから犯罪が減るんだから」と。

私は、死刑制度反対派。どんな極悪犯でも、死刑にしたところで犯した罪は元に戻らないし、被害者の傷は本当に癒されるのだろうか。それに、アメリカかどこかの統計では、死刑囚の10%くらいは無実だということも判明しているらしい。そうだとしたら、死刑は大変な人権侵害につながる。誰が人間の命の生死を決断できるというのだろう。そして死刑を執行する人々は、なんの権利があって死刑囚を死刑にかけることができるというのだろう。いくら仕事だからといって、死刑が決まってるからといって、人を殺していいのだろうか?では、イラクやアフガニスタンで民間人を大量に殺害した多国籍軍の軍人は罪にならないのだろうか?「目には目を、歯には歯を」的な、復讐の仕方の死刑制度に私はどうしても賛成できない。

カナダの犯罪率の低下を望んでいる友人J。気になったので、カナダ統計局のここ数年のカナダの犯罪率を調べてみた。アレ~ッ、1990年代からカナダの犯罪は減少している。ではいったい、友人Jは何を根拠に死刑制度がカナダに復活するべきだと思っているのだろう。

結局、選挙とはいっても、大多数の人は何年も同じ党を支持しているので、他の党の公約に耳を傾けてみようと思う余裕はないのかもしれない。今回の選挙戦を見ていても、他党のほめ殺しばかり。私たちの人生は先入観や偏見に満ちていて、なかなかそれを変えることは難しいのかもしれない。

友人Jは子供のいない人生を選んで、真面目に働いたお金で年に一度、数週間の海外休暇を楽しみ、お洒落なコンドミニアムに住み、食事は外食、老後のために頑張って貯蓄もしている。彼にしてみると、なんで庶民がこんなに高い税金を払わなければならないのかというのが現政権への不満らしい。

一方、子育てをしている私はもっぱらこの世界の将来、つまり環境問題が一番気になるところ。気候変動、ピークオイルなど、私たちが住む地球の環境は日に日に脅かされている。私はいつかは死ぬけれど、子供たち、そしてそのまた子供たちへとこの地球をなんとか残してあげたい。もちろん経済を回して市場を動かしていくことは大切だけれど、これ以上この地球の環境を危険にさらすと、そんな経済が存在できる市場(地球)すら消えてしまうことになる。

イデオロギーの違い。ため息。

No comments: