Monday, June 04, 2007

降ってわいたような話:ロバート、フォルスクリークにカムバック



先週、ロバートがドラゴンボートに復帰したのである。フォルスクリークに復帰。あのユニフォームをもう一度着ることにしたのだ!

昨年のクラブ・クルーカップという世界大会で、金メダルをほとんど獲ってしまった西カナダ代表のフォルスクリーク・チームの一員だったロバート。クラブ・クルーの直前に行われた今年の世界大会のカナダ代表を決めるレースでトロント(オリンピックのカヤック代表アスリートたちが7名くらいいる強豪)に惜敗してシドニー行きの切符はゲットできなかったフォルスクリークではあるけれど、現在ドラゴンボートで世界ランキング1、2位のトロントに善戦して負けたので悔いはないとさばさばしていた。それは昨年の8月のこと。私もこれでドラゴンボート・ウィドーから解放される!夫が家に戻ってくる!と内心喜び、それから先週にいたるまで、土日は子供たちを公園に連れて行ったり、家族みんなで散歩に出かけたり、パーティもたくさんやったり、フツーの生活を楽しんでいたのである。

ここ数年で、ドラゴンボートは北米でかなり人気のチームスポーツに発展。昨年の世界大会にはカナダ、アメリカ、イギリス、ドイツ、香港などから強豪チームが集まる。毎年バンクーバーでは6月に大きなドラゴンボート・フェスティバルが行われ、参加数はローカルなチームからアメリカ、ドイツ、オーストラリアなど各地から180チームくらい。1ボートは20名の漕ぎ手とドラマー、舵を取るスティアの22名が乗る。一般的なレースは500mを競うもの。世界大会のレベルでは、250m、500m、2000m、男子部門、女子部門、混合部門、そして年齢によっても分けて(ジュニア、オープン、マスターなど)レースが行われる。昨年、フォルスクリークは2年に一度開かれるクラブ・クルーで、6種目中4つの金メダル、1つの銀メダルを獲得。2000mでは惜しくも失格になってしまった。

昨年はクラブ・クルーと、世界大会の予選に向けて、ロバートは1月からトレーニングを開始。週に4回ボートの練習、3回はジムで筋力トレーニングの毎日。双子が生まれた時は2週間トレーニングをオフにしてくれて、それからまたトレーニングスケジュールに戻り、ストイックな日々が8月まで続いた。20名が乗るボートと言えばかなりの大人数に聞こえるけれど、そのシートを目指してあちこちのチームからフォルスクリークに加入するパドラーが増え、20名のパドラーを決めるにあたってのタイムトライアルを何度かこなし、ロバートはボートの中でも重要な1番前のシートで、メトロノームのような役割をしてボートのスピード、タイミングを設定する「ストローク」というポジションをしていたのだ。チームのコーチは、シドニーとアテネオリンピックでカナダのカヤックチーム代表だったコモニ・ジェインという女性。テストステロン隆々のチームから、一目も二目も置かれた素晴らしいコーチだ。オリンピックスポーツになっても不思議ではない、近年ではハンパじゃないスポーツ、それがドラゴンボートなのだ。たかがドラゴンボート、されどドラゴンボートというやつだ。

今年はロバートのソフトウェアの仕事が忙しく、家を売る準備や、目が離せなくなった双子の子育てなどで、ドラゴンボートから休業宣言をしたロバート。私の中でも、多分ロバートは昨年がレース人生のピークに達したのではないだろうかと感じていた。

ところが、、、だ。チームメートで仲の良いロビーが、我が家に知らせを持ってきたのは2週間前。9月にシドニーの世界大会に行くことになっていたトロントチームのスポンサーが降りてしまい、何千ドルも自腹を切ってシドニーに行けなくなってしまったアスリートが出てしまいピンチに陥ったトロント。そこで、トロントから10名、フォルスクリークから選り抜きの10名がチームを作りシドニーへ行くことにしたというのだ。我が家の事情を知っているロビーは、ロバートにチームに戻るようには言わなかったけれど、ロビーが我が家にじきじきに現れてこのニュースを伝えるということ自体、何が言いたいかははっきりしていた。もしかしたら、私の前でチームに戻るよう説得すると私に刺されると思ったかもしれない(笑)。私たちはキッチンで立ち話をしていた。ナイフが目の前のカウンターにあったので、ロビーもビビッタのかもしれない。だけど、ドラゴンボートへの思いは、私もありありだ。ここ数年の私はアウトリガー・カヌーを練習しているけれど、ケンが生まれるまでは私もロバートと一緒にドラゴンボートをしていた。家を売ってお金も入ったわけだし、シドニーへ行く旅費なんて軽い軽い。というわけで、ロバートは先週フォルスクリークの男に復帰したのだ。

とは言っても、昨年の8月以来トレーニングをしていなかった体には、いきなりチームに合流しての練習は辛いものがあるらしい。この1週間は背中と体全体が痛いそう。年もあるわよね、と私は思ったりしているのだけれど。やるからには、ベストを尽くして欲しいのが私の願い。これからしばらく家庭を犠牲にすることになると思うけれど、私も昨年の経験があるので、どうやって育児をしていけばいいか見当もつくようになったし。10人の中の一人に選ばれてほしいと願い、早くも私のほうが少しドキドキしていたりして。

今日はケンが「Do, Do, Do, De, Da, Da, Da」を歌って私たちを楽しませる。

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