Friday, November 13, 2009

新型ですねん

で、うちも一応インフルエンザと新型のワクチンを子供達に接種させることにしたんです。バンクーバーでは10月下旬から年齢や持病によってワクチンが受けれるようになっていて、5歳以下の子供への接種は先週から始まりました。この新型(こっちの巷では、単にH1と呼ばれています。さぁ、今日の英会話の練習、言ってみて。エイッチ・ワン)、怖い怖いって思ってる人が多いけど、そりゃ何千人に一人とか死ぬだろうけど、インフルエンザも肺炎もそんなものでしょう。またもやメディアが作り上げたパニックですねん。

子供への接種が解禁になったその日、我が家は3人の男の子を連れて学校帰りに近くのヘルス・ユニット(日本の区民センターの一部みたいな母子センターみたいところ)に行きました。そうだ、ケンの親友のなゆちゃんも誘って行けば、注射嫌いなケンも少しはガールフレンドの前でいい顔してくれるかなと思って、コテコテの関西弁を話すなゆちゃんも誘って(そう、ここバンクーバーなんやねん)。カナダではワクチン不足だの、ワクチンを待つ行列が3時間待ちとか色々ニュースで騒ぎ立ててたけれど、あてらが行った近くのヘルス・ユニットはまず行って番号札をもらって「じゃ、1時間後に戻ってきて」と受付で言われて、それから1時間おやつを食べてなゆちゃんと遊んで、また建物に戻ってみたわけです。そこで待つことなくすぐに受付の人に先へ通されて、ニュースで言ってるわりには、やった、超スピーディ!なんてあては思いましたねん。子供達にしてみれば、なんで楽しく遊んでたのにこんなところに連れてこられたんやねんって思ったんじゃないかな。しかも、今回は子供とお年寄りが優先のワクチンだったので、大きな部屋では子供の泣き声がこだましていた!たまたまそこに日本人の父子がいて、お父さんは最初は優しく子供に話してたのが、子供が注射の番が迫ってくるにつれ泣き出す。そこでお父さんがまじになって怒り出す!なんだか日本人のお父さんが怒るところを数年ぶりに聞いちゃった。私もこのことにもう少し気を配ってたらよかったのに。。。というのは後の祭りで、その時に年の小さい3歳の双子は別室で注射を受けることとなり、私は双子と一緒に別室へ、そしてケンはなゆママにお願いしたのです。

個室に通されて、優しいコミュニティ・ナース(保健師さん)の若ママが、いい雰囲気を作り出そうと双子に色々話しかけ、「オー、いい感じ!頑張れ!」なんて私は心の中で思っていたのです。そして最初に注射を受けたのはトモキ君。針が刺さったとたん泣いたけど、すぐに泣きやむ。英語で言うところのOne done。そして次はノア。ノアは手ごわい。シャツを脱がそうとすると、「やだやだ」と袖をなかなか抜かせてくれない。そんな時、ドアがノックされてなゆママが「注射を嫌がって」ということで、ケンを連れてくる。ケンも個室に加わり、ノアとの押し問答再開。それを見て、ケンが「注射したくない!」と泣き出し、ノアも泣くしで、けっこう悲惨なことに。そこでなんとかノアに注射をすませて次はケンの番。泣きながら私の膝で注射を受けまいともがくケンを見て、一番最初に注射を終えてケロッとしていたトモキが、ケンも泣くくらいだからこれはヤバイと感じてまた泣き出し、狭い個室がしばし泣き声の三重唱。私もその時ナースにあることを言おうかと思いながら、まっ、いいかと躊躇。考えてみると、あとでそれが裏目に出たわけですが。嫌がるケンを抑えて注射を終わらせると、ナースがトモキを見て「ちょっとこの子、顔色が白いわ。あなたこの子、抱いて!」と。トモキを抱くと、もう気が遠くなってるみたいで、そこでさっき食べたおやつを吐く。私はそれを見て、ヤベッ!またこれ前と同パターンと心の中で思って。そうこうするうちにケンが蒼白になり、ナースの顔色は、、、、引きつるっていうよりパニックに!ソファにケンを寝かせて、ナースはヘルプを呼びに廊下に。若くてフレッシュなナースは、ベテランのナースを連れて部屋に戻ってきました。あー、この人、覚えてる!と思った私。ベテラン・ナースは「あっ、気を失っただけね」と動じる風でもなく、そして私を見て「あら、また、あなたね!」って。あてはその時、穴があったら入りたいと思いましたわ。

そう、2年前の再現。あれはケンが3歳だった時。注射の後で吐いて失神して、救急車が呼ばれたのです。その時に出てきたのもこのベテラン・ナースのメアリーさんだったのです。ケンは蒼白になり、私も初めての経験だったのでオロオロして、救急車が到着。大きな救命士さんがケンを軽々と抱き上げて救急車に乗った時、ママはケンがニヤッと微笑むのを見逃さなかったですぞ。救急車のストレッチャーに乗った時には顔色も良くなり、話もできるようになったケン。あの頃、ケンは救急車や消防車が大好きだったのです。救急車がサイレンを鳴らして信号無視してチルドレンズ・ホスピタルに飛ぶように走るのを感じて、ケンは満足したに違いありません。子供病院のERに到着した時にはまるで何もなかったかのようにピンピンして歩いていたケンです。数ヵ月後にナースからきちんとした検査結果が戻ってきた時には、ワクチンへの拒絶反応ではなく、ワクチンへの恐怖からの反応という結果が出ました。

だから、また今回も子供達が気を失った時には、私にはすぐにそれだとわかり、ベテラン・ナースさんも私たち母子を見て「あら、また、あなた達ね!」って、動じる風もなく。一番焦ったのは若ママナースさん。

「ごめんなさい、あらかじめ言うべきだったわ」と私は詫びて、「ねっ、今晩あなたにはワインが必要ね」とフォローを。

子供達はしばらくすると回復し、すったもんだの末、私たちは月曜の暗くなった夕方、雨の中帰路についたわけです。ベテラン・ナースより、「次回、注射に来る時はあらかじめ電話して。あなたたちには別室を用意しておくから」と皇室並みの待遇を約束されました。

ヘルス・ユニットに入るまでは、けっこう今日はスムーズに色々物事が進んでるって思っていたのが、この一件で帳消し。小さな子供が3人いると、毎日こんな感じ。疲れましたねん。

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