Friday, April 30, 2010

今さら、日本には住めない

ママ友の一人が、一家揃って日本帰国を決めた。3人の子供がいる彼女。一番上の子供は高校生だ。ご主人はカナダ人。長年住んだカナダを、思い切って去ることにした一家。ちょっと驚いたのは、それは彼女の意思で決めたことだった。

よく日本人のママ友と話になるのは、「今さら、日本には住めないわよね~」ということだ。

「今さら、日本には住めない」

この言葉、ちょっと私には引っかかっていた。カナダの暮らしに慣れると、日本にはもう住めないというらしいのだ。たしかに、カナダの暮らしはのんびりしている。子供たちは公園で遊んでいたら靴下まで脱いで、裸足で砂場を歩き出すし、お弁当だって手の込んだものを作らずにおにぎりとソーセージだけですませられるし、公共の場でも堂々と授乳できるし、子供がちょっと薄汚れた服を着ていても「ここは日本じゃないから」とすませられる。それに比べて、ママ友の話を聞いていると、日本はどこに行っても混雑してるし、しがらみが多いし、他人との付き合いを大切にしないといけないし、他人の目をいつも気にしないといけないらしい。要するに、カナダでこんないい加減な暮らしをしていると、日本にはもう住めないということになるらしい。

5年近く日本に帰ってない私は、「へぇ~、日本ってそんなところだっけ?」と思いたくなる。

私の中では、食べ物は美味しいし、温泉はあるし、人々は丁寧で親切だし、電車は時間通りに来るしといいことだらけ。銀行に行けば行員が頭を下げて対応してくれるし、駅員さんだって親切じゃん。カナダって、その点すごく対応が悪い。サービス業って言葉が定着してないんじゃないの?と思うことばかりだ。おまけに救急病棟に行ったら3時間は待たされるし。「救急」なんてふざけた名前をつけんなよ!と言いたくなる。

帰国を決めた友達は「私のわがままで帰国を決めて、なんだか子供たちに悪いことしちゃったんだ」と言った。彼女がこっちの生活に限界を感じたのが理由だ。

「子供たちは日本行き、反対なの?」と私。
「違うの。大賛成。子供たちは日本が大好きなの」と彼女。
「じゃあ、いいじゃない」
「でもね、私は英語環境の中で子供たちを育てたかったの。だからそれができなくなって、ちょっと申し訳ないと思ってるのよ」と彼女。

だけど、英語はもう十分にできる子供たち。日本に行けばインターナショナルスクールに通うそうだ。そして日本語も上手に話す子供たちだから、日本での生活は、まさにバイリンガルな子供たちには素晴らしい経験に違いない。20歳前の吸収力抜群な時期にカナダと日本で過ごせるなんて、なんて幸運なことだろう。3年後に大学進学を控えた彼女の長男は、日本の大学かカナダの大学に進学するチョイスがある。チョイスが多いのはいいことだ。

大阪の都心出身の彼女だけど、新天地に決めたところは北海道。ヨサコイと三浦綾子の大ファンという彼女らしい選択だ。

色々なことを話すことのできた友達がバンクーバーから去るのは寂しくなるけれど、「今さら、日本には住めない」というカナダ在住の日本人が多い中、私は大胆な決断をした彼女がすごいと思う。そして、来年私が帰国した時に会えることを楽しみにしながら。

実は我が家でも、子供たちが小さいうちに数年の間、日本に住みたいという夢がある。子供たちに母親が生まれ育った国を見せて体験させたいし、彼らにはカナダ人だけじゃなく日本人としても育ってほしいからだ。数年構想の夢だけれど、いつかそのうち実現させますぞ。

彼女の決断に幸あれ!

3 comments:

me said...

ウォシュレット無いところには住めません。私も、夫も。

orange said...

お久しぶりでございます。日本に行って、戻ってきました。日本は4月にしてはえらく寒かったです。。。それはさて置き。

日本とカナダ、どっちか、っていうと、私は帰国する度にだんだん分からなくなってきました。毎回あの便利な日本が恋しくなって帰るんですけど、でもカナダのこの大らかさ(っていうかいい加減さ)に慣れてしまうと段々自分もいい加減になってる?と思います。東京にいると、人と人との関わりのあまりの薄さにも考えさせられてしまうところもあります。

結局、どっちも「良し悪し」なのかもしれないなぁ・・・と。

Ms. MacSaito said...

どこに住むかはそれほど大事なことじゃないのかもしれませんね。だけど、そこに住むことによって幸せを維持することができるか、自分がハッピーでいられるか、それが肝心なことなのじゃないかと思ったりします。だけど、ウォシュレット、刺身が旨いことはMustかな~。